ゼロの使い魔(2) 風のアルビオン
ヤマグチ ノボル, 兎塚 エイジ
ちょっと間が空きましたけど、読み終えました。ゼロの使い魔、第二巻。
まぁ、そうですねぇ。
ラブコメとしては王道のストーリー展開で、読む人間の期待を裏切らないという意味では及第点をあげたいのですが、いかんせん、それ以外が弱すぎる気がする作品ですね。
点数を下げた
「それ以外」というのは
「状況説明」です。
これには状況描写も含まれるのですが、現代日本とはまったく勝手の違う世界を、うまく説明しきれていないように思うわけです。
これはSFも同様なのですが、作者の頭の中でゼロから構築された世界というのは、政治経済、気象や地理、果ては人間の考え方に至るまで、すべてが異なっているわけです。
そんな誰も知らない世界を説明しなきゃいけないわけですから、本当ならもっと懇切丁寧に説明するべきだと思うのですが、今回の作品では、それがうまくいってない感じがするんですよね。
確かに、これを読んだら、シリアスな展開にはしないでほしいという声があるのも、分かる気がします。
一方、僕の大好きなラブコメ方面では楽しませてもらったので、完全に駄目な評価とはならなかったのですが、それだけに、この説明不足がもったいない、というのが、僕の本音。
この流れで今後も進むのであれば、読んでいる人間が気恥ずかしくなるくらいのラブコメ路線で行ってもらいたいと思うのですけど、さてさてどうなるんでしょう。
以下、ネタバレ。
この本でもっとも混乱させられたのは、メイジで貴族の三人。
ギーシュ、ワルド、そしてウェールズ。
この三人、性格こそ違えど、持っているプライドの高さは同じで、立場も似たようなものだからか、すごく口調が似ているんです。
だから、この三人のうち、二人以上が同じ場面に登場してくると、どの言葉が誰の発言か、分かりにくくなってしまうんですね。
そこへもって、先に述べた説明不足が重なりますから、あれ、この人いたの? とか、なんだコイツがこんなことを……あぁアイツの言葉か、なんてことがざらにあるわけです。
まぁ、幸いなことに、期待していたラブコメ方面は王道で、期待通りに進んでいきますから、なんとか立ち止まることなく読み進めていくことができるわけですが、これがなければ、本当、読むのも苦痛だったかも。
で、思ったんですが、この作品、あえてファンタジーにするのではなく、現代学園モノにした方が成功していたんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか?
ヤマグチ ノボル著
メディアファクトリー (2004.9)
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