|
花井 良智
集英社
¥ 500
Amazonランキング:
14440位
|
|
---
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
¥ 5,798
Amazonランキング:
477位
|
この映画、けっこう楽しみにしてた映画でした。そのため両者の比較はできないのですが、まぁ、比較するために映画を観ているわけではないので。
で、結局のところどうだったかというと、とてもよかったです。
堤幸彦バージョンの方は「はやぶさ」目線だったらしいのですが、こちらはどちらかといえば技術者目線。
だから非常にドキュメンタリー色が強く、展開に重きを置いている人だと、抑揚のないストーリー展開に苦痛を感じるかもしれないです。
逆を言えば、ドキュメンタリー映画を楽しめる人なら、この映画は至高の作品となるかもしれません。
観ていてイライラする人には、あまりオススメできない作品といえます。
では、ここからはオススメの人に対してのレビューを。
これは僕も誤解していたのですが、スタートは「はやぶさ」の開発着手ではなく、M-Vロケット打ち上げから始まります。
技術者目線の映画なら、当然、開発段階から描かれるのだろうと思っていたので、正直がっかりしていたのですが、じつはこれ、誤解だったんです。
瀧本監督は、開発についての話をないがしろにしていたのではなく、映画としての大事なポイントである「おもしろいこと」からブレさせないために、この路線をとったんですね。
これは、後々のストーリー展開で知ることができます。
さて、打ち上げから始まった物語ですが、冒頭からしばらくの間は、間延び感が絶えません。
人間ドラマが淡々と流れていくだけですので、例えドキュメンタリーに抵抗がなくても、人によっては苦痛を感じるかもしれません。
また、物語の中では専門用語が飛び交ったり、意味有りげなはやぶさの様子が描かれていたりもするのですが、それに関する説明も特になかったりします。
もちろんそれは無意味ではなく、イオンエンジンの不調であったり、宇宙事業の困難さを示すものであったりするのですが、無駄に時間が伸びるということで省かれてしまったのかもしれません。
でも、個人的には省かないで欲しいところも何箇所かあったんですよね。
そこがちょっと残念かな。
ただ、この前半部分もまったく無駄というわけではなく、軌道計算の達人である山口氏やイオンエンジンの開発コンビである藤中森内ペア、はやぶさを記事にする井上真理や下町ではやぶさの部品に携わった東出のおやじさんなどが、各々苦労したこととともに紹介されてます。それもやっぱり淡々としているわけですが。
でも、後半三分の一になると話は急展開を見せ、技術者たちの夢と希望が現実味を帯びてきます。
そしてその「現実味」が「現実」となった瞬間、泣いちゃうんですね。
出演者も観客も。
仕方ないですよ。男くさく泥臭く頑張ってきた男たちが報われる瞬間ほど、嬉しいものはないです。
そういう共感が得られる映画として、この映画は非常に良作だったと思います。
では、以下ネタバレ。
]]>