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- 【小説】 いぬかみっ (8) 〜川平家のいちばん長い一日〜
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2006.03.16 Thursday
いぬかみっ!〈8〉川平家のいちばん長い一日
有沢 まみず
さてさて、ずいぶんと待ちこがれていた第八巻。
でも、ページをめくるのは、けっこう勇気がいりましたねぇ。
だって、これまでの話を収束させるための一冊ですもん。
赤道斉と大妖狐という二つもの強敵がいるんですから、すんなりと話が終わるはずもないわけで。
どんなシビアな展開が待っているんだろう。
そう思いつつ読み進めていくと。
やっぱり。
これから読む人のために詳細は伏せますが、最悪の状況がこれでもかっというほど出てきます。
でも、ページをめくる手は、最初と違って止められません。
要するにおもしろいんですよ。
次々とページをめくらなくちゃいけないと思わせるくらい。
だから、次々と不幸を遅うキャラクターたちの幸せを目にするまで、ページをめくる手が止まらない。
気が付くと、一気にラストまで読み切っちゃってましたねぇ。
一つの大きな区切りとしては、なかなかの一冊だったのではないでしょうか。
来月には新刊も出ることですし、かなり楽しみに待っていられそうです。
ちなみに、なぜ最高評価とならなかったのか。
う〜ん、それはちとネタバレになりそうなので、そこで話そうかな。
というわけで、以下ネタバレ。
- 【小説】 いぬかみっ (7)
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2005.10.09 Sunday
いぬかみっ! (7)
有沢 まみず
ここ数日、更新に間が空くようになってしまいました。
すみません。
間が空いたとしても、確実に更新は続けていきますので、見捨てないでね。
ていうか、はやく毎日更新できる状態に戻したいよぉ。
と、個人的な愚痴はおいておきまして。
本日読んだ本のレビューをば。
前巻のレビューで、シリアスな割には伏線を張りっぱなしの展開が、面白さを削ぐ、と評していましたが、前言撤回。
この本をおもしろく読んでもらうために、どうしても必要な巻だったんですね。
うわ、我ながら回りくどい言い方。
要するに何が言いたいかと言いますと。
この本、おもしろいっすよ。
ということ。
前巻では、おバカ展開から一転、中盤からややシリアスになったこともあって、ついて行けない部分もあったのですが、今回は、その心づもりがあったおかげでしょうね。
最初の二話だけが、おバカ展開で、残りがほぼシリアス、という展開だったにもかかわらず、すんなりと受け入れることができました。
でも、それ以上に良かったのは、これまで見えなかった物語全体の謎が、うっすらとですが、輪郭めいたものが見え始めてきたってことですね。
これまでは、この物語の中に、どんな謎が隠されているのか分からないながらも、おバカなシチュエーションの面白さがカバーしてきたわけですが、この本に関しては、そうした展開がほとんどありません。
ていうか、いぬかみっというシリーズを「世界観」ではなく「物語」として楽しませてくれる一冊という感じですね。
だから、これまでのシリーズにマンネリを感じていた方は、この本に対して好感を持つんじゃないでしょうか。
ただ、やっぱり惜しむらくは、解決しない謎が多いという点でしょうね。
一応、この本はクライマックスということで、十二月に発売される八巻で、もしかしたら区切りがつくのかもしれません。
そしたら、これまで氷解しなかった謎が、一気に解決するかもしれませんし、今はそれに期待、ということになるかもしれません。
う〜む、十二月が待ち遠しいなぁ。
追記。
なんか分かりませんが、282ページの一行に、グッときてしまいました。
この後、このシリーズ、どうなっちゃうんだろう……。
- 【小説】 いぬかみっ (6)
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2005.09.28 Wednesday
いぬかみっ! (6)
有沢 まみず
更新、かなり遅れ気味ですみません。
どうにも、うまい具合に時間がとれなくて。
さて、本日の書評ですが、正直言って微妙なんですよねぇ。
この本には、従来と同じように、短編二本に中編が一本、おまけでショートショート一本と、合計四本の話が収録されているのですが、それぞれの評価がバラバラなんです。僕の中で。
まず、最初の二本。
これはどちらも短編なのですが、どちらもこのシリーズらしい仕上がりだったんですよね。
お下劣さは控えめだったものの、犬神つかいである啓太をめぐって、ようこやなでしこなどの犬神たちが、ドタバタを起こすシチュエーションはそのまんま。
薄い内容ではあるのですが、文章は読みやすいし、いつもと変わらぬ面白さがあって、けっこう好きな話だったんですよね。
しかし、本の半分を埋めることになった中編に移って、雰囲気が一変。
ようこが他の犬神たちと一線を画す理由や、薫の秘密、啓太の持つ力についてなどなど、これまで多くを語ってこなかった影の部分に焦点を当てているんですね。
そのため、各所にバカバカしい笑いは入ってはくるものの、全体的にはシリアスな雰囲気。
いや、もちろん、それはそれで構わないと思っています。
ギャグ路線からシリアスに転じることで、シリーズとして締め、物語として完成するなら納得します。
ただ、完成していないんだよなぁ。
前からそうだったんですけど、伏線が増えていく割に、それを消化する物語が少ないと思うんですよね。
これまでは、そういった部分が気にならなくなるほど、バカバカしい展開があったおかげで、楽しめたわけですが、今回にはそれがない。
しかも、またもや伏線を張りっぱなしで、はい終わりではなぁ。
でも、それ以上に、この中編で気になったのは、物語の流れ。
何カ所か、繋がっていない気がするんですよ。
これは僕が眠い目をこすりながら読んでいたせいなのかなぁ、とも思ってはいるのですが、でも、どうしてこうなったのかが分からず、読み返して、やっぱり分からず、という部分が、何カ所かあったんですよねぇ。
まぁ、全体の流れが分からなくなるほどでもなかったので、そのまま読み進めはしたのですが、やっぱ評価は下がっちゃうんだよなぁ。
このままシリアス路線に向かっていく可能性もありますが、やっぱ僕としては、おバカラブコメとして、この本が好きなので、七巻がそうした話で固められていると良いなぁ、なんて思っています。
- 【小説】 いぬかみっ 5
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2005.09.22 Thursday
いぬかみっ! (5)
有沢 まみず
最近、小説もしばらく読んでいませんでしたので、手近にあったこの作品を手に取ってみました。
やっぱ読みやすいっ!
いつも思いますが、この有沢まみずという人は、表現方法が豊かで丁寧。
しかも言い回しがクドくないので、まるで漫画を読んでいるかのように、次々とイメージが浮かんできます。
まぁ、少しばかりネタがお下劣路線であるのが、人に選り好みされてしまう理由なのでしょうが、僕は好きです。こういうの。
だって、男だし。
ただ、相も変わらず、バカバカしい笑いばっかりで、頭に残らないのが難点っちゃあ、難点……。
と思っていたら!
今回はちょっと毛色が違いますよ。
この中には二本の短編と一本の中編、一本のショートショートが収録されているのですが、そのうち、中編の一本が、何か違うんです。
ケイタが格好良くて、ちょっと切なくて、アクションしてて。
これだけで長編が作れちゃうんじゃないかというくらい、出来の良い話が入っているのです。
これは読んでいて損はないですね。
僕がこの評価にしても、この話があったから、というくらい。
このシリーズ、ちょっとマンネリで、四巻で止まっているんだよなぁ、という方は、ぜひ読んでみてください。
もうちょっと読んでみようかな、という気持ちにさせてくれますよ。
では、例によって収録されている短編の内容をば。
【夏の夜の怪談!in 薫の家】
この手のラブコメ作品では欠かせない、怪談ものです。
ありがちなネタに、ありがちな設定。
でもやっぱり笑っちゃうんだよなぁ。
怪談ものって変な魅力がありますね。
【お疲れ啓太と極楽マッサージ】
啓太は焦っていた。
今度の試験は、なんとしても赤点を免れなければならない。
何しろ出席日数が足りないのだ。
しかし、それを周りのヤツは分かってくれない。
ようこも、ともはねも、そして留吉のヤツまで、かまってくれと邪魔をしにくる。そんなんじゃ、今度のテストは……アレ、体の調子が……?
いつもはイジめられてばかりの啓太ですが、今回は癒し系大作戦とばかりに、あらゆるキャラたちに癒しの限りを受けます。
やっぱ、なでしこは可愛いなぁ。
【だけど俺にはお前の歌】
はけが訪れたのは、とある豪邸だった。
依頼を受け、その返事にやってきたのだ。
ご令嬢の件、承りました。
ただし、受けるのは私たちではありません。
受けるのは……。
この作品です。
啓太がかっこいい!
いつものシリーズとは違った展開。
でも、シリアスであっても鬱展開ではありません。
読めば読むほど元気になる。
本当、おもしろい話でした!
【河童橋にて】
中編の後日談。
ちょっとホロリとキちゃいます。
いや、おもしろい作品なので、前作に抵抗が無い方は、ぜひ読んでみてくださいませませ!
- 【小説】 いぬかみっ (4)
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2005.09.13 Tuesday有沢 まみず〔著〕
表紙にたゆねがいる。
だから、たゆねがいっぱい出ている作品だったんだ。
でも、たゆねって、そんなにいっぱい出ていたっけ?
すみません。
のっけから失礼しました。
何しろ軽く読み返しつつ、思い出しながら書いているものですから。
で、このたゆね、あまり印象に残っていなかったんですよね。
そのくらい登場回数はなかったんじゃないかと思っていたのですが、予想通り。
表紙全面を独占しているのに、作中ででてきたのは、わずか一話だけでした。
というわけで、前回はキャラ定着期間であったためか、この本では怒濤のようにキャラが増えています。
といっても、たぶん一時的なものだと思うわけですが。
で、この本の見どころはというと。
やっぱ、たくさんの女の子が、きゃあきゃあ言いながらお風呂に入っているシーンだったり。
簡単に文章をイメージ化できてしまう作品なので、こういうシーンがあると、そりゃもう、モヤモヤと頭にその光景が浮かんでくるわけですね。
う〜ん。
想像するだけで、薫様とやらがうらやましい。
それはそうと、じつをいうと僕は、こうした多くの女の子キャラと同等に、はけというキャラも好きだったりします。
なんか、おバカなストーリーの中にあって、こうした真面目キャラが、浮いて見えてしまうというか、可愛く見えるというか。
各話の合間にある四コマの影響なのかもしれませんけど。
で、これを読み返して思ったのですが、忘れてしまっている話がやたらとあります。
これ、裏を返せば、何も頭に残っていないということ。
それだけに、後から読み返してみると、それなりに新鮮な笑いが得られる作品なのかも。
頭に残らない作品は、それなりに良さがあるというわけですねぇ。
- 【小説】 いぬかみっ(3)
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2005.09.13 Tuesday
いぬかみっ!〈3〉
有沢 まみず
ふぃ〜〜。
すみません。昨日中に五巻分更新する予定だったんですが、体力持ちませんでした。
もう年かねぇ。
……って、いい年こいて徹夜して、何をやってるのかっ
ってのはなしで。悲しくなるから。
さてさて、昨日の続き、第三巻ですが。
今回は特に新キャラが登場するわけではなく、いつものおバカラブコメに終始しております。
これを、キャラを読者に定着させるための計算としてやっているのだとしたら、有沢まみずという方、かなり計算高い人物ですよ。
だって、事実、この巻で、なでしこ、ともはねのキャラが確定しましたからね。
で、この本の目玉はと言いますと。
ズバリ。
なでしこのセクシーショット!
だったりします。
小説でセクシーショットもねぇだろう、と思ったあなた。
この作品を甘く見てはいけません。
有沢まみずという作者は、見事なまでの表現力で、読者の頭に、なでしこのセクシーなポーズを再現させてくれています。
しかも、前の二巻を読んでいる方なら分かると思いますが、イラスト担当の若月神無が、冒頭のミニコミックを掲載していることで、この妄想力が増大。
ちょっとエッチなラブコメとしてのテイストを、かなりの完成度で仕上げています。
なんで、こういった本が好みの方には、かなりオススメですよ。
それにしてもこの若月という方、エラく漫画家としてのセンスが良いですな。
思わず、いぬかみっの漫画、出してくれないかな、なんて思ったほどです。
出したら買っちゃうだろうなぁ。
追記。
五巻分更新、と言いましたが、まだ四巻までしか読んでいなかったようです。
三冊もほったらかしだったとは。
しかも、それに気づかなかったとは!
う〜む、内容が薄いにも程があるぞっ。
僕の記憶力もどうにかしないとっ。
……はぁ。
本当に、僕の頭の方はどうにかしないとなぁ。
- 【小説】 いぬかみっ 2
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2005.09.12 Monday
いぬかみっ!〈2〉
有沢 まみず
ヒロインようこにライバル登場!
いや、なでしこの登場は、してやられました。
そのかいがいしさは、男性すべての理想像といっても過言ではないくらいで。
こりゃ、ファンが増えるんじゃないですかね。
また、もう一人、ともはねも登場したわけですが、こちらは僕の琴線には引っかからなかったモノの、妹萌えの人々にはピンポイントなキャラであるような。
本当、あの手この手でキャラを出してきますね。
なんて言ってますが、じつはこれってスゴイことなんですよね。
多すぎるキャラを少しずつ出してきて、読者に定着させてから次を出す。
そのタイミングがじつに絶妙で。
内容は相変わらずおバカで、何も残りませんが、それでも高評価を得られるのは、こうした読者を意識する作者の技量がものを言ってるんでしょうね。
今回も、おバカなラブコメを読みたいという人にはオススメの一冊です。
- 【小説】 いぬかみっ
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2005.09.12 Monday
いぬかみっ!
有沢 まみず
えと、時間が少しできたので、いずれ書かなきゃと思っていた書評を、少しずつ消化していきたいと思います。
で、今回選んだのが、この作品。
内容としては
由緒正しき犬神使いの一族・川平家、その末裔で能力不足により勘当された高校生の川平啓太のもとに、一人(一匹)の犬神が現れた。
“ようこ”と名乗る犬神は楚々として従順、しかも容姿は抜群。
さっそく啓太は主従の契りを結び、ようことの共同生活を始める。
だが、実はこの彼女、かつて誰もがコントロール出来なかった犬神の中の大問題児だったのだ!
お金も女の子も大好きな煩悩の塊、犬神使い・啓太と、破壊好きで嫉妬深い犬神・ようこが繰り広げるスラップスティックコメディ登場。
というものなんですけどね。
まず読み終わっての感想。
ようこって、犬神というより、化け猫なんじゃないか?
そう思ってしまうくらい天真爛漫で純真無垢。
しかも一途でわがまま。
猫っぽい女性を好む人が理想像をくみ上げたら、ようこになってしまうんじゃないか、というくらい猫っぽいです。
キャラとしては、うる星やつらのラムに近いキャラなので、その系統のラブコメを愛している人なら、十分に楽しめる作品じゃないかな。
そうしたラブコメ色が強い分、設定がどうとか、そういうことを言う余地のない作品ではありますが、だからこそ何も考えずに楽しめる一冊だと思いますので、おバカなラブコメが読んでみたい、という人はぜひ手にとってみてください。