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- 【小説】 鳥は鳥であるために (4)
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2005.10.18 Tuesday
鳥は鳥であるために (4)
野島 けんじ
先ほど読み終わりました。
なんか我慢できなくて。
だって、ずっとずっと悲しい思いをしてきたんですよ。
第一巻で切なさを味わい、第二巻で絆を知り、第三巻で強さを身につけたキャラたちが、第四巻でどうなるのか。
気になるでしょう。
で、読んじゃいました。
その感想。
最っ高っっっっ!
海老庵さん、ありがとう! という想いですよ。
もう、これを読んで、第一巻で海老庵さんがコメントされた意味を知りました。
なるほど、これを読むために一巻というものは存在しているんですね。
ものすごーく納得。
おっと、ちょっと暴走しちゃいましたね。
ボクがこんなに突っ走っちゃっている理由は簡単。
この第四巻で、物語のこれまで停滞していた部分が、一気に加速して流れていくんですよ。
なぜ倭が水星家から出て行くことになったのか。
なぜ小鳩は呪を手放そうとしないのか。
倭と小鳩は、新しい人生を手に入れられるのか。
志朗と小鳩の関係はどうなるのか。
そうしたこれまでのモヤモヤ感が、まさに快刀乱麻のごとくスッキリしていくのです。
もう、この気持ちよさったらありません。
このシリーズ、それぞれの巻に面白さはあると思うのですが、その中において第四巻は別格と言って良いかも。
この気持ちよい感動は、読み終わった人間にしか分からないと思いますので、気になる方はぜひ手に取ってみてください。
ライトノベルの恋愛モノに抵抗がない方なら、絶対にお気に入りの一冊になると思いますよ。
くそっ、ラノベ2006のアンケートを書く前に、これを読み終わっていたら、これもお気に入りに入れていたのに。
出遅れちゃったなぁ。
- 【小説】 鳥は鳥であるために (3)
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2005.10.16 Sunday
鳥は鳥であるために (3)
野島 けんじ
すみません、更新がおくれてしまいました。
さて、昨日の二巻が印象深かったこともあって、さっそく続きを読んじゃいました。
この巻で、あらたに帯刀唐穂というキャラクターを加え、その唐穂を中心に話が展開していく第三巻。
果のクラスに転校してきた唐穂もまた呪受者の一人。
それゆえに、他人から離れ、社会を拒絶するために乱暴な言葉遣いをする彼女の生き方を、呪受者を身内に持つ果は、すぐに見抜き、自分ができることをしてあげたいと願う。
そんな「鳥は鳥であるために」らしいストーリー展開は、じつにストレートで、これまでにないほど、安心して読むことができました。
志朗と小鳩、そして果に夕香。
この四人がいれば、どんなツラい状況であっても、必ず何とかしてくれる。
そんな類の安心感ですね。
これが他のシリーズなら、マンネリだとか言ってしまうところですが、このシリーズに関しては、こうした安心感がまた、またたまらなかったりするんです。
それとも、巻を重ねることで、各キャラの性格が、これまで以上に明るくなったのかな?
まぁ、そんなわけなんで、今までほど人間関係にハラハラすることはありませんでしたが、だからこそ、他の部分にも焦点を絞って楽しむことができました。
他の部分。
要するに、このシリーズを通して存在する大きな謎、小鳩の兄、倭のことです。
彼に関する様々な謎が、明確になったり、それが新たな謎を生み出したりするんですね。
そのサスペンス的要素が、次巻への興味を持たせてくれるわけでして。
この辺、構成がうまいなぁ、なんて思っちゃうわけです。
そしてもう一つ。
この本で注目しちゃうのが、志朗と小鳩の関係について。
なんかね。
表立ってこそいないものの、少しずつ進展しているのが見えるんですよ。
だから、これもまた、次を読もうと思う気持ちの推進力になったりしています。
ただ、その反面、今回は安心できる物語であるために、ちょっと落ち着き過ぎちゃってるかなぁ、というのが、今回のマイナス要素。
やっぱ、困難は、その壁が高ければ高いほど、厚ければ厚いほど、それを乗り越えた瞬間の爽快さが生まれるわけで。
今回は、それが薄かったかなぁ、というわけ。
いよいよ次は最終巻ということで、広がりまくった話を、どう収拾して、どんな感動をもたらしてくれるのか。
今からすごく楽しみ。
じゃ、さっそく最終巻、読んじゃってみましょうか。
- 【小説】 鳥は鳥であるために (2)
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2005.10.15 Saturday
鳥は鳥であるために (2)
野島 けんじ
どうも、昨日は失礼しました。
ちょっと野暮用だったのですが、けっきょくキャンセルになってしまいました。
これならブログを更新しときゃ良かった……。
ま、そんな話はともかくとして。
先日読もうと思っていた、という本。
じつはこの本だったりします。
海老庵さんにオススメされてから、久々の二冊目となったのですが、さて感想はというと。
ウグッエグッ……。
いい話じゃねぇか。
今回は新しいキャラ、毬藻という女の子を軸に、
「異性を好きになる愛」
「添い遂げる愛」
「家族を守るための愛」
「仲間を信じる愛」
など、様々な愛がテーマになっていたのですが、不覚にもラストの文章を読みながら、目から涙がこぼれちゃっていました。
本当、こういう話は苦手なんです。
人に奨められていなければ、読んでいなかった類の本です。
そんなボクが、二冊目に手を付けてしまう。
この本には、それだけの魅力とパワーが秘められています。
なんていうか、文章も内容も、センシティブで哲学的。
読者に対して「人間の負」というものを、考えさせるのではなく、感じさせる一冊なんですね。
しかも、これに十代らしい恋愛模様なんかも織り交ぜられているから、重いテーマがあるにも関わらず、非常に読みやすいんです。
しかし、何より素晴らしいのは、その読了後の爽快だということ。
なぜか。
人間は恐い。
人間は醜い。
人間は狡い。
人間は愚か。
そんな人間に対する負のイメージに対し、メインキャラたちが純粋な心で立ち向かっているからです。
人間は恐い。
でも、助け合う仲間がいれば何とかなる。
人間は醜い。
でも、信用できる仲間は別格なんだ。
人間は狡い。
でも、守りたい人、守ってくれる人がいれば大丈夫。
人間は愚か。
でも、純粋に愛してくれる人がいれば、そんなことは些細なこと。
そんな感じで、読む人を勇気づけてくれるんですね。
傷をなめ合うだけの仲間が素晴らしいとは言わないが、孤立無援に生きる人間を、本当に強い人間とも言わない。
そんなことを教えてくれる一冊。
本を読んで感動したい人には、本当にオススメと言えますので、ぜひ読んでみてください。
う〜む、勢いに任せて、恥ずかしいこと言っちゃったか?
以下、ネタバレ。
- 【小説】 鳥は鳥であるために
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2005.09.12 Monday
鳥は鳥であるために
野島 けんじ
今日やったこと。
朝起きて、友人のところに向かい用事をチョチョいとすませ。
選挙に行って、投票し。
空いた時間に映画を観て。
帰ってようやく朝食を口にし。
ながらで観ていなかったバラエティ番組を消化して。
届いた箱を開封して一冊読む。
う〜ん。我ながら今日は映画を観に行ったにもかかわらず、けっこう時間を有効活用できてるな〜。
というわけで、今し方読み終えました、海老庵さんからの推薦本の書評です。
内容としては
石楠花学院に通う小笹志朗には秘密があった。
それは、自らの体に呪を宿す「呪受者」であること。
志朗はそれを秘密にしていた。
「呪受者」の存在は、世間から忌み嫌われているからだ。
そのことを、幾度とない転校でイヤと味わってきた志朗は、だからこそ秘密にしていた。
そんな彼が、学校から帰宅しようとしていたとき、二人のメイドに突然拉致されてしまった。
向かった先は目を見張るような豪邸。
そこに放り込まれた瞬間、彼の生活は一変した。
使いたくもない呪の力を使わされ、あまつさえ、冷たくも美しい瞳を持つ美少女に、兄の捜索を依頼されたのだ。
望まない呪の力を持つ少年と少女。そしてその周囲の人々をセンシティブに描く学園ファンタジー。
というわけなのですが。
うぅ、こういうの苦手ですよぅ。
てっきりラブコメだとばかり、勝手に思いこんでいたら。
思いっきり繊細な話じゃないですかぁ。
ページをめくるたびにウルッとしてしまったり、次のページでは思わず微笑んでしまったり。
かと思えば、周囲の冷たい仕打ちに割れ知らず拳を振り上げてしまっていたり。
号泣こそしない内容ですが、着実にチクリチクリと身が刺さされる想いをしてしまいました。
こういうの嫌いじゃないけど、苦手なんです。
これはラブコメ好きな僕としては、間を空けないとちとツラそうですね。
この評価となってしまったのは、こうしたことが理由なのですが、これはあくまで主観。
では客観的に観るとどうかと言いますと。
見事に人間を描いた素晴らしい作品です。
呪という、まさに呪われたモノを内に秘めてしまったとき、人間はどうなってしまい、周りはどう反応するのか。
その感情の流れをうまく描いており、それが作品のクオリティを高めています。
ただ、リアルであるが故に、主人公の小笹くんが見た目、本当に凡庸な少年となってしまっているのは残念ですが、これは作品の構成上仕方のないことだったのかもしれません。
そしてこれが重要となりますが、
妹萌えの内容こそあれど
その他の面では、圧倒的に萌えが控えめです。
なので、あらすじの「メイド」で萌えを感じ、購入を考えている方は、やめておいた方が良いかもしれません。
逆に、繊細な物語を求めている方なら、これはオススメと言えるかも。
それにしても、この本は、地球上で本当に怖い生き物は人間であるけれど、同時に素晴らしい人間も存在するから、自分は生きていられるんだ、という気持ちにさせてくれますね。
ズシンと腹にくるものはありますが、それなりに読み応えもありますので、馬数のオススメは明るいものばかりで食傷気味なんだよなぁ、という方は、この本を読んでみてくださいませませ。
えと、ほんの少しですが、ネタバレ。